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<134> 精油中のトルエンについて

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ローズマリー満開

ローマンカモミールの種子を5万粒蒔きました!カモミールの芝生を作ろうと思っています。近所の人たちが通りがかりに「そこ、何するの?」「芝ならスプリンクラーつけるの?」「カモミール育ったらお茶にしてもいい?」など様々なコメントをいただき、これで育たなかったらどうしようというプレッシャーを感じています。ちょうど月が蟹座で葉の日となる24日(アメリカ西海岸で)月の下降期にあたるので、植物の移植や種まきに適していると判断して1ヶ月前から計画、用意してきました。でもカモミールの種は本当に小さいので、思ったところから出てきてくれない可能性もあります・・・順次様子を見ながら進めていこうと思います。


ところで今日は精油の話をします。昨年ですがトルエンについて質問を受けました。「フランキンセンスなどの精油にトルエンが入っていると聞きましたが、大丈夫なのでしょうか?」という内容ですが、もちろんシンナーの吸入に使用されるイメージが強くて「トルエン」イコール「中毒」となってしまいますが、元々の成分名からしてバルサム·トルー(Myroxylon balsamum) の成分だから「トルエン」になったくらいで、樹脂、針葉樹、スパイス、ハーブなどの精油に極微量(約0.01~0.1%)含まれています。


でも元の植物に含まれているわけでなく、蒸留の過程で熱分解により生まれる物質です。また植物がストレス下に置かれた時には空気中に発散することもあります。IUPAC名はメチルベンゼンでペンキのうすめ液や接着剤などに使用され、多量に吸入すると重篤な神経毒性があります。


Laboratoire Phyto Chemiaによると、例えば混雑した道で30分運転しているとトルエンを約60μg(マイクログラム)吸収します。針葉樹やフランキンセンスなどをブレンドして1時間ディフューザーを使用すると約6μg吸収します。FDA(アメリカ食品医薬品局)の1日の吸収量の限界は10000μgとなっています。この計算もさらされるトルエンを全て吸収したらの計算です。(μg1.0 × 10-6 グラム···1g100万分の1


California Air Resource Board(カリフォルニア州大気資源局)によると体重1kg当たり0.2mgのトルエンを毎日ラットに与えると、肝臓と腎臓の重量に変化が見られたそうです。これが直接大きな健康障害に結びつくかは即決はできないそうですが、これ以上の量に暴露されるのは危険だろうという推論です。


「ちょっとでも危ないから使うのはやめましょう」となると、家に普通に過ごすこともできなくなります。普通に家にいても1日100μg20分マニキュアをつければ2000μgの吸収となります。


この微量のトルエンは植物のワックスや樹脂から空気中に放出されたり、植物自体が正常に分解される時にも放出されます。また組織が死んだ後に真菌類やバクテリアによって産生されます。だから清浄な森の中を歩いていても自然のトルエンは微量存在します。


でもなぜ最近まで報告を聞いたことがなかったかについてですが、GC分析の際に使用される溶剤とともに最初に揮発するので省略されていたり、0.05%以下の成分は無視されていたという理由が挙げられるそうです。


15滴内用した場合(精油にもよりますし、樹脂は内用するケースは稀です)この場合はトルエンは150ppmなのでFDAのガイドラインの360分の1になります。経皮吸収の場合は15ml5%希釈だとFDA60分の1 になります。ディフューザーの場合、極端な実験ですが15滴の精油を2.4m四方のスペース(13.8平方m)で換気なしで拡散すると1平方m当たり10.9μgになります。かなり微量で問題になりません。


結論としては、真正な精油に含まれるトルエンは極微量で問題にならないということです。トルエンに限らず常識的な精油の使用を心がけることは、更なる未知のリスクを避けるためにも重要です。

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うちの庭に毎日やってくる近所の猫ちゃんの1匹。
トラが一部入っているのが可愛い!

by lsajapan | 2021-03-26 03:35 | 精油について
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