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<80> 南フランスとスイスの旅 その3

昨日は南仏アロマテラピーツアー報告会を開催し、ツアー参加者ほぼ全員が集合した上にさらにたくさんの方がいらしてくださり、とても楽しく進めることができました。2000枚以上の写真を整理して200枚のプロジェクターのための写真を用意し、自分のなぐり書きのメモをじっくり眺めて記憶をたどり、少しリサーチしたり復習したりしてまとめました。
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世界の芳香植物分布図
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これは訪ねた芳香植物園の奥様でペストリーシェフのオードリーさんの手作りのコンフィです
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おまけとしては、私たちグループが気になっていたものの、現地で食べそびれたオレンジフラワーのイドロラ(芳香蒸留水)入りのフガス(Fougasse:プロヴァンス地方の伝統的なパン)を義妹が当日朝に焼いてくれました!
食用オーガニック・オレンジフラワーウォーターをニースのオリーブオイルの老舗店で仕入れていたので、それをパン種に加える水分の100%として使ってもらったところ、とっても香り高いフガスができました。

アヴィニヨンにいる時にネリーにフガスのことを話したら「じゃ、買いに行こう!」と地元の有名なブーランジェリーに連れて行ってくれました。
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人気ブーランジェリーはこんな感じで次々とお客が途絶えず大忙しです
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小さな店構えですがクラッシックな雰囲気で、カウンターでご夫婦がお客さんの指差すものを包んでくれます。ものすごく素敵なパンばかりで全部欲しくなってしまいました。ネリーが教えてくれたフガスはバジルペストー入り
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どーしてお庭のイスに直接パンを並べるの?と思うでしょうが、私が熱心に写真を撮っていたら親切心でネリーがやってくれました・・・中央がフガス、向かって右はオリーブ丸ごとたくさん入った手の平に乗るくらいの大きさのもの。向かって左は、しっとりとしたパイ生地のようなパンで、タプナード(オリーブの実のペースト)がいっぱい入っています。これもやみつきになりそうなくらい美味しかった!

他のフガスはその店にはないそうで,私も結局オレンジフラワーのものは食べれずじまいでした。でもこんな形で皆で試食できるとは・・・義妹に大感謝です。そしてグラースのジャスミン、ヴァイオレット、ローズ・ド・メイのオーガニック・コンフィ(ジャム)やローズ・ド・メイの砂糖づけを試食したり、私が蒸留したブルボンゼラニウム、ローズゼラニウム、シナモンゼラニウム、ジンジャーゼラニウムのブレンド・ハイドロレートをゲロルシュタイナーで割って、冷たくしておいたものを皆で飲んだりしながら報告会は続きます・・・
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オードリーさんのスィートヴァイオレット。3月に咲きます

今回の新しい発見はAgastache anisee (Agastache foeniculum), Water mint,
Pink pepper, Cisteなどで、少し紹介します。最初のAgastache aniseeはアニスヒソップだそうで、素敵な花が咲き、葉がアニス味なのでサラダに入れて食べたり、花付きの枝を飲み水のピッチャーに入れて飲んだりします。昆虫忌避作用もあり、サシェに入れてフレッシュな香りを楽しみます。ティーは呼吸器や消化器の問題に効果的です。元々はメキシコ原住民が使っていたハーブだそうです。
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Agastache anisee ネリーのハーブ園で花盛りでした

ウォーターミントWater mint はMenthe aquatique (Mentha aquatica)と呼ばれており、アニスヒソップと似た効用ですが、こちらはスキンケア製品にイドロラが使われていました。
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Mentha aquatica

ピンクペッパーPink pepper (Schinus molle) はウルシ科の植物で、フランスでは
baies rosesまたはPoivre rose ポアブル・ロゼと呼ばれています。コショウボクの果実でブラックペッパーとは違う種です。訪ねた芳香植物園でも樹がありました。抗菌作用、消毒作用、抗炎症作用、癒傷作用、抗うつ作用、利尿作用、月経障害歯痛、リウマチに。昆虫忌避作用もあります。香りはブラックペッパーよりも軽く繊細でエスティー・ローダーのプレジャーズやエルメスのオー・デ・メルヴェイユなどの香水にも使われています。
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Pink pepper

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 Cistus ladanifer

シスタスまたはラブダナムCiste (Cistus ladanifer)はコルシカ島で見ました。葉に樹脂がベッタリと付いていて、とても良い香りがします。やはり繊細な葉を守るためだそうで、夏場は樹脂が多く、冬場は減るそうです。イドロラやエッセンシャルオル、アブソリュートを香水、スキンケアに使用します。アンバーグリスそっくりな香りがするので、古典的な香りを調香したい時はお勧めです。抗炎症作用、保湿作用、抗しわ作用などの魅力的な効用があります。ロタンシエルではシスタスとピンクペッパーは後もう少しストックがありますので、興味のある方はお問い合わせ下さい。

今月末にはウェブサイトがリニューアルします!とても素敵で読みやすくなるので、お楽しみに。そしてもうすぐジャスミン・サンバックのアブソリュートやアター類が届くので、秋のセールも9月に入ったら用意が整い次第、開催したいと思います。

メディカルアストロロジーの通信教育のテキストももうすぐ出来上がります。お待ちいただいている方々、遅れてしまい申し訳ありませんでした。なかなか奥深く、面白い内容です。四元素の考え方からチャートの読み方、アスペクトを含めた分析の方法など、できるだけわかりやすく、多くのサンプルチャートを出しています。かなり私も凝って書いておりますので、お待ちいただいた甲斐があるはずです!    
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by lsajapan | 2015-08-25 14:07 | 海外にて

<79> IFA30周年記念カンファレンス

ちょっと時間が空いてしまいましたが、IFA30周年記念カンファレンスが2015年6月20〜21日に開催されました。2日間メインスピーカーとも言えるお二人(サルバトーレ・バタリア氏、ピエール・フランコム氏)の通訳を務め、責任重大と打合せや予習をしっかり頑張った2日後には息をつく暇もなく南フランスに向けて飛び立ち、17日間の大冒険の後は仕事が山積みで、やっと書こうと思いついたら今・・・です。遅ればせながら行けなかった方々のためにも少し紹介します。
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CEOのポーリン・アレン氏と会長のコリーン・オフラハティー・ヒルダー氏

IFAは30周年を記念して今年はロンドン、東京、北京の3箇所でカンファレンスが開催されます。場所によってスピーカーは変わりますが、日本では特にピエール・フランコム氏や熊谷千津氏、勝山壮准教授らが化学的研究を発表し、精油やキャリアオイルの研究が常に進んでいることを感じました。
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講演者の皆様

<東京のスケジュール>
6月20日
1.サルバトーレ・バタリア「統合アロマテラピー」
2.クリスティン・ペイジ「ヒーリングの核心へ帰る」
3.ジェーン・ジョンソン「姿勢アセスメント」
4.熊谷千津「アロマテラピーの精油・キャリアオイルに関する最新研究データ」

6月21日
1.ピエール・フランコム「精油は身体的・心理的痛みを軽減できるか」
2.ロジャー・ケリー「がんケアにおける精油」
3.ステファニー・ロード「アロマタッチー自閉症と発達障害の子供たちに働きかける」
4.勝山壮「精油ならびに精油成分の薬理学的基礎研究」

この2日間両日の1番手を通訳ました。どちらの先生方も、熱心で打合せも含めとても有意義で楽しかったです。5年前のカンファレンスでは2日続けてロバート・ティスランド氏の講演を通訳しました。ティスランド氏も素晴らしく熱心で、独自性があり、忘れられない思い出です。私がちょっと英語の心得がなければ、こんなチャンスは巡って来なかったと思うと、もっと勉強する気になります。

Salvatore Battaglia サルバトーレ・バタリア氏は“パーフェクト・ポーション”という精油ブランドをもっていらっしゃり、上下2冊で成る“アロマセラピー完全ガイド”を書かれました。オーストラリア国籍ですが、イタリア系の方なのでご自分でもおっしゃっていましたが、情熱的で明るい雰囲気で講演も熱気に満ちたものでした。少し内容をご紹介すると、様々な人達が精油を使用して仕事をしているけれど、アロマテラピストとは本来はどんな職業なのだろう?という問いかけから、アロマテラピーは現在アイデンティティーの危機に直面しているのではないかという状況を紹介します。そして我らシュナウベルト博士の本の引用をされました。シュナウベルト博士からも彼の過去のある論文を参考にするように言われていたので、本人にお会いできて良かったです。

カート・シュナウベルト博士の著書より:1999年「Medical Aromatherapy」
「20世紀の終わりの時点では、アロマテラピーの実践はアロマテラピストたちがしたいように決めた方法で成り立っている。秩序なくまとまりに欠けた理論のない実践である。定義づけるのは商業的な利益に色付けられている」

16年も前に出版された本からのかなりきつい意見ですが、バタリア氏は完全に同感だそうです。これは文句を言っているのではなく、シュナルベルト博士もバタリア氏もアロマテラピーが良い方向性に行ってほしいと願っているからです。講演中、以下のような問題提議をされました。

アロマテラピーはアイデンティティーの危機に直面している?
➢使用法の多様性と明確さの欠如が問題
➢治癒的特性はあるか?どのように?
➢使用法は?(精油は飲めるのですか?原液は?)
➢理論的な枠組みは?(何が中心で何が二次的なのか)

本当にこのポイントはアロマテラピーの弱点でもあると感じました。通常は特定の療法は決まった方法で資格を与えられた療法士によって施術される。でもアロマテラピーに関しては意見が様々で、方法も様々で、一方が厳しく禁止していることをもう一方は推進している。精油のクオリティーが様々で完全なコントロールは難しい。勉強のカリキュラムの幅が大きすぎて“アロマテラピスト”が自称から国際ライセンスまで幅が広く一定ではない。以上のような問題があることをお話しされました。

またオーストラリアでは看護師がアロマテラピストを兼任するべきだと言う意見もあるそうです。そうすると看護師だけがアロマテラピーを施術することになります。現実的ではないですよね。結局そうなりませんでしたが、元々フランスで医学的、化学的に発達したものがイギリスでよりマッサージセラピスト向けに発達して行くところから、バリエーションが様々な療法に変遷して行った発端なのだと思います。また、精油の様々な側面がフレグランス業界から食品、化粧品、療法、ヒーリングなど幅広く取り入られることは、素晴らしいことでもあるけれど課題も多いということです。

バタリア氏は鍼灸師の免許をもっており、伝統医学的な側面にも触れ、化学の勉強はするべきですが決して化学成分だけが答えではないということも言われていました。結局は様々な方法を必要に応じて統合的にフレキシブルに使用して行くアロマテラピーを目指し、バランスの良い施術をして行くことを推進され、以下のような領域において「統合アロマテラピー」は成り立つと結びました。

➢焦点を病気よりも治癒にあてる
➢個人の魂、心、コミュニティーが身体と同じく影響がある
➢全てのライフスタイルを考慮し人間全体を考慮する
➢個人の文化、信念、ライフスタイルを理解する
➢クライアントとしっかりと関わり洞察する
➢現代医療と代替医療両方を使う
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バタリア氏からいただいたチャクラオイル・セットは私のロタンシエルのものととても似ていて、やっぱり精油のエネルギーの表現は一貫性があるんだと感動しました。次の日に私のチャクラ・ブレンドをバタリア氏に見せると「ほんとだ、同じエネルギーだね〜」と喜んでくれました。

Pierre Franchomme ピエール・フランコム氏は「アロマテラピー大全」の共著者であり、現代のアロマテラピーの最高峰に立っていらっしゃる先生と認識しています。今回は身体的な痛みについての詳細な説明と効果的な精油についてお話しされました。痛みは文化的背景や本人の経験などの要因により個人差が激しいということや、痛みは心理/神経/内分泌/免疫現象である。発痛源に注意をはらう必要があり、発痛源に配慮しなければトリートメントは無駄になる可能性があるということなどを紹介されました。
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私も緊張しておりましたが、フランコム先生も緊張されていたようです

次に痛みのメカニズムを説明され、発痛物質は外因性または内因性の発生源より炎症が起こっている間に放出されるPGE2, LT, ブラジキニン、セロトニン、ヒスタミン、NK1などの発痛物質は様々な侵害(疼痛)受容体の作動薬となり、発痛物質が侵害受容体を刺激すると電流が生じ、神経繊維を通り脳に伝わることにより痛みを感じるということ、さらにゲートコントロールや神経伝達物質についての話、末梢性痛覚過敏や発痛物質について、中枢性痛覚過敏やNMDA受容器の拮抗薬などについても説明されました。

なかなか難しいトピックですが、結局痛みの発生とどのように精油で疼痛マネージメントできるかと言う興味深いトピックです。実際の精油の話になると突然皆さんが活気づきました。

末梢効果による鎮痛はショーガオール、ボルネオール、(-)-メントール、シンナムアルデヒド、アルファテルピネオール、パラシメン、メチルカビコールなどが効果的だそうです。

さらに抗炎症作用:NFkB抑制剤としてはフェンネル、アニス、スターアニスなどに含まれるアネトール、シトラール、酢酸オイゲニル、オイゲノールなどが紹介され、COX-2(シクロオキシナーゼ2)阻害物質としては、サルチル酸メチルがやはり効果的で抗炎症作用と鎮痛作用を示すとのことです。

他にも抗けいれん作用もあるヴァイテックス(Agnus castus)に含まれるクレロダジエノールが効果的であることや、アドレナリン遮断剤、交感神経抑制剤として(-)-リナロールを紹介されていました。さらにプチグレンは内因性モルヒネ様物質の産生を促すそうで、もっと精油の作用をしっかりと勉強しないと、宝の持ち腐れになってしまうと思いました。

さらにたくさんの情報を紹介して下さいましたが、これは新しい改訂版の「アロマテラピー大全」の出版を待つしかありません。もうすでに書き終えて、フレグランスジャーナルから出版されることが決まっています。翻訳作業が始まっていると思いますが、ティスランド氏の改訂版「精油の安全性ガイド」と共に重要な参考文献となりますね。

最後に今回のカンファレンスで私は功労賞をIFAからいただきました。「長年に渡るハイレベルなサポートを感謝致します」とのことです。いつも地道な仕事をしており、誰が見てくれているなど考えたこともなかったので、このように認めて下さるのはとても嬉しいことです。これからも多少仕事のスタイルは変わって行くかも知れませんが、頑張って行きたいと思います。
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一応いただいたシルバープレートの写真に撮ってみましたが、読めないですよね。このように書いてあります。

Appreciation Award
Presented To Ayako Berg
For Outstanding Dedicated Services To The IFA
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by lsajapan | 2015-08-10 15:41 | イベント