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<53> Cajeputi and Tiger Balm カユプテとタイガーバーム

アロマテラピーの勉強では、ティートゥリーと比べてカユプテは影の薄い存在かもしれません。でも実際はタイガーバームの成分として重要な役割をしており、香りも私達にとってなじみのあるものです。初めてカユプテのボトルを手に取って香りを嗅いだ人も「あ、知ってる」という感じです。この樹の写真は見たことがありましたが、インドネシアの旅行では公園や植物園で何回かカユプテに出会うことができました。美しい樹で、精油を採る部分であるエレガントな葉は、しっかりとした香りがしました。
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カユプテ:Cajeputi : マレー語Kayu putih : インドネシア語 Kaju putih:意味は“白い樹”です。学名の Melaleuca leucadendra の属名は“黒白”で種小名は“白い樹”という意味で、やはり樹皮に特徴があります。厚いスポンジ状の動物の皮のような手触りの樹皮が順次剥がれ落ちながら成長しています。英語だと”Paperbark Tea Tree”とも呼ばれマレーシア、インドネシア諸島、ソロモン諸島、オーストラリアなどで生育しています。

ジャワにて:毎晩ホテルに帰ると玄関でジャスミンサンバックのレイをいただきます。白い愛らしい花の形と香りが素晴らしくて、カユプテの樹皮(拾ってきたのもです。樹からはがしたものではありません)と共に写真に収めました
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バリのボタニカルガーデンにて植物学者の説明を聞きながら観察中
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ところでタイガーバームなのですが、調べてみたところ、ビルマのラングーンのハーバリストのアウ・チュ・キン氏が1870年代に製品化したそうです。元をたどると1500年前の中医学のレシピで、痛みや炎症、筋肉の強化のために使用されました。オリジナルのレシピでは名前の由来である虎の骨が含まれていたそうですが、現在では植物系の材料のみです。でも基剤が鉱物油なので、皆さんには是非ミツロウやシアバターなどを使って石油系原料を抜いて作ってほしいと思います。いずれにしろカユプテはタイガーバームの象徴的な香りと効果をメントールやカンファーと共に担っています。
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使用目的にあげられているのは:頭痛、偏頭痛(こめかみに塗る)、筋肉痛、虫さされ、かゆみ止め、咳(胸部と上背部に塗布)、腹痛、副鼻腔炎、鼻づまり(少量鼻孔の下に塗る)などです。

タイガーバームには様々なバリエーションがあり、レッド、ホワイト、ソフト、ストロングなどがありますが、以下のレシピが出て来ました。

<タイガーバーム・レッド>
メントール10%、カンファー11%、メントール除去ミントオイル6%、カユプテ7%、クローブバッド5%、カシア5%

<タイガーバーム・ホワイト>
メントール8%、カンファー11%、メントール除去ミントオイル16%、カユプテ13%、クローブバッド1.5%、カシアは入っていません。

<タイガーバーム・ソフト>
メントール12%、カンファー10%、カユプテ13%、クローブバッド1.5%

今月はインドネシアからの精油やカナダからのハイドロソルがセールになっています。メールが届いていない方はお問い合わせ下さい。また、8月25、26日のフリクション・ワークショップではタイガーバームの試作もやってみます。エッセンシャルオイルをどのように適応させて行くか、滴数の計算など、いくつかのバリエーションのレシピも提案します。フリクションとは“擦り込み剤”なので、基本的にタイガーバームもフリクションになります。私のようなめんどくさがりやにはピッタリの日常必需品です。健康増進、アンチエイジング、バイタリティーを高めるため、痛みの軽減、浮腫をとるためなど、いろいろな目的で使うレシピを皮膚に負担をかけない方法で紹介するので、是非ご参加下さい。
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by lsajapan | 2012-07-19 13:44 | ホリスティック・ヘルス

<52> BALI and JAVA Part 3 バリ島とジャワ島その3

インドネシアでのフィールドトリップの報告を続けます。今回はクローブです。クローブの精油はイギリス式アロマテラピーでは皮膚に使えないとされていますが、フランス式では低濃度で局部的に使用します。(花蕾からの精油のみを使用すること。マッサージオイルには0.5%までにして、皮膚の弱い方、弱い部分には使用しないこと)素晴らしい殺菌作用があり、ディフューザーブレンドに加えると効果的です。
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クローブ (Eugenia caryophyllata: インドネシア語:Cengkeh)は花蕾と葉、枝を産業には使用します。クローブはフトモモ科の常緑樹で丁字とも呼ばれ、香辛料や生薬にされて来ました。現在インドネシアでのクローブリーフのエッセンシャルオイルは年間生産量2000トンで、主に分子蒸留されてオイゲノールを抽出するのに使います。クローブバッド(花蕾)オイルは年間生産量50トンです。95%のクローブバッドはガラムなどのブランドで有名なクローブタバコ(Kretek)に使われます。
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Kretekの言われはクローブタバコを吸うときのパチパチ音から来ているそうです。彼らには"パチパチ"が"クレテック"と聞こえたのでしょう。1880年代にジャワ島に住んでいたハジ・ジャマリ氏が、持病の喘息と胸部痛のためにクローブ油を胸部に擦り込んで症状を緩和していたそうですが、効果的に肺に精油成分を送り込むために煙草にクローブの花蕾と樹脂を巻いて喫煙したら、すぐに症状は消えたそうです。これがクレテックの始まりで、年々工場を大きくして行き、今では一大産業となっています。でもジャマリ氏は肺がんで亡くなっています・・・蒸気吸入にすれば良かったのに・・・

クローブの主成分はオイゲノールで花蕾には約70%、葉は約90%含まれます。葉の方がよりきつい香りがして、子供のときの歯医者さんの匂いを思い出します。歯科で使用するのは酸化亜鉛ユージノールですが、最近はそのままの匂いではあまり使っていないようです。クローブリーフから採れた精油はそっくりの香りがします。ところで、ユージノール=オイゲノール=eugenolです。念のため。

クローブの樹はかなり大きくなり、葉の収穫は年間を通して行なわれます。でも伐採というよりは落ちた葉をひたすら集めて蒸留しているとのことです。それで足りるんですね・・・去年は雨が多く精油の収穫量が半減したそうです。バリ島の北側のバニュアティスという標高の高いコーヒー栽培で有名な場所まで行き、クローブ農家の蒸留所を視察しました。驚いたのが、ハイドロレートを川に捨てていたことです。蒸留器もステンレスですが、かなり原始的な感じです。ここで抽出されたエッセンシャルオイルは近代的設備のある工場で分子蒸留されて、オイゲノールをとります。
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歓迎していただき、左端に写っていますが、ガムランの演奏で迎えてくれました。クローブリーフを蒸留中
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比重の違う精油成分を採取ています。ちなみに一番上の方に写っているパイプでクローブの蒸留水を直接川に捨てています
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こちらは最新式の抽出工場にて。分子蒸留器や超臨界流体抽出法の設備も見せていただきました。

とても印象に残ったことは、農家がとても貧しく、とても古く今にも壊れそうなバラックで蒸留しているのと、中国系のエリートたちが仕切っている最先端の近代設備のある企業との差が大きい点です。リゾートホテルのような事務所で仕事をしている人もいれば、100年前とどのくらい違うのかと思う環境にいる人々もいます。どちらが幸せか豊かかは決められませんが・・・
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by lsajapan | 2012-07-08 05:40 | 海外にて