<45> Chypre シプレ

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今日は久しぶりに香料関係のセミナーをしました。シプレを取り上げたのは,他の香調グループはフローラル、グリーン、フルーティー、オゾニックなど比較的理解しやすいのですが、シプレやフゼアはあまり知られていないのでは・・・と言うことからです。この名前は1917年にコティ社のフランソワ・コティがデザインした“シプレ”と言う名の香水から来ました。
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コンセプトは地中海に浮かぶ島、キプロス島(英Cyprus, 仏Chypre)に育つ植物をイメージした香りです。このブレンドはローマ帝国での起源にさかのぼると言われており、シトラス類と苔類、動物性香料のブレンドでした。現在でもこれを基調にしており、シトラスフルーツにジャスミンなどの花の香りや、オークモスやアニマル調のベースノートを加えたものです。フレッシュなシトラスフルーツの香りとウッディなベースノートを取り合わせたコントラストが特徴です。そのコティ社のシプレは1986年に販売が終了していましたが、運良く少し分けてもらうことができ,皆でじっくり香りを嗅いで「なるほど〜こういうの知っています」という感じで雰囲気をつかみました。

現在売られているシプレ調の香水はミツコ(ゲラン)、イディール(ゲラン)、カッシーニ(ユーロイタリア)、ノウイング(エスティローダー)、ミスディオール(ディオール)、CK One(カルヴァンクライン)などたくさんあります。基調となるベルガモット、ラブダナム、オークモス、パチューリなどに様々な花やアニマルノートなどを加えて個性がでます。シプレと言うと,少し年配向けのイメージもありますが、イディールのオーデパルファンなどは、ヒヤシンスやスズラン、ホワイトムスクなどが入りとても若々しく華やかです。

これを天然精油で再現したらどうなるか・・・ということで、アンジェリカシード、ラブダナム、オークモス、ジャスミン、モロッコローズ、ベルガモット、パチューリなどのブレンドを5%でのコロンを制作してみました。驚くほど雰囲気が出て皆で満足してしまいました。2週間から6週間程熟成させてから使用し始めます。1つずつの材料をアルコールに溶かす度に香りを確かめて行きましたが,最初にオークモスを入れて香りを嗅いだら、大好きな“グレイ・フランネル”という男性もののコロンの香りを思い出しました。これはジェフリー・ビーン社の製品で、主要な香料はフローラル以外のシプレの材料でブレンドされています。

オークモスは昔、ラルフ・ローレン社のポプリを制作していた時に、雑巾の切れ端が入っているので驚いて拾い上げようとしたら「それはオークモスって言うのよ」と一緒にブレンドをしていた方に教えてもらいました。本当にそう見えます。実は古代エジプトではボディパウダーにされていたそうです。パウダリーな落ち着く良い香りです。でもIFRAでは皮膚感作の注意が出ており、極少量での使用にとどめる必要があります
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ラブダナムはロックローズとも言われ,地中海沿岸で育つハンニチバナ科の植物です。これも古代エジプトから使用されており、ファラオの付けひげはラブダナムの枝葉を食べる山羊のひげでできており(すでにラブダナムの樹脂が付着している)これをさらにラブダナムの樹脂であごに付けたそうです。ファラオの手に持つ杖は1つがラブダナムを採取する器具“ラダネステリオン”で、もう1つは山羊の放牧をする時に使うカギ型の杖です。
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カイロ考古学博物館で去年革命の起こる前にお会いしました・・・・ツタンカーメンの黄金のマスク・・・素晴らしかったです
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ラブダナム、ラダナム、ロックローズ、シスタス、シストローズなど様々な名前があります。きれいな花ですね。花にはほとんど香りがありません

キプロス島、クレタ島など行ってみたくなりました。現在のギリシャなどの経済問題や、すぐ下にあるエジプトの紛争など気にかかり、いくらキプロス島は独立共和国と知っていても、しばらく夢見る場所にしておこうかと思っています・・・近くにヒポクラテスの出身地であるコス島もありますね。いろいろとリサーチしてみたい土地です。
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by lsajapan | 2011-12-04 01:15 | セミナー
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