<39> Decumbiture Chart デカンビチュアチャート

待望のワンダ・セラー氏が来日されて、17世紀に医師が使ったというデカンビチュア・チャートの講座がありました。ニコラス・カルペッパーやウィリアム・リリーに代表される17世紀の占星術のバックグラウンドや実際の伝統的な方法そのままを3日間に渡って勉強しました。今回は5日間分のセミナーを全て通訳しましたので、かなり多くの情報やリーディングの方法を知り、夕方にはいつも知恵熱状態で、頭が熱くボーッとしてしまいました。

17世紀は十分な検査技術や診断法が考案されていなかった時代であり、彼らが基礎を置いていたのは18世紀の化学の夜明けや細菌学の発展を経験する前の医学です。診断や薬剤の選択はBC5世紀のヒポクラテスの四体液質を基本にしており、Hot and Cold, Dry and Moist(熱、冷、乾,湿)の組み合わせで体質を4つに大きく分けました。また対応する三区分としてCardinal, Fixed, Mutable(活動/主要な,不動/固定した、柔軟/変化しやすい) を元の4つに分けて行き,結局は12種類の体質、性質を見ることができるわけです。

普通,雑誌などで見られる「星占い」と言うと太陽の位置だけの話になりますが、デカンビチュアやホラリーだと7つの惑星を見ますし,さらに12ハウスと12宮を見るので複雑です。惑星の状態やアスペクトも考慮します。17世紀は現在と違って生まれた時間がわからない方が多かったので、ネイタル・チャート(出生図)で正確に見ることがよくできなかったようです。そのかわりに質問者が質問をした時間にチャートを立てるホラリー・チャートが一般的でした。

で、デカンビチュア・チャートは何かと言うと、患者が最初に病気になり(具合が悪くなり)横になった時間でチャートを立てます。ここでも問題が出て来るのですが、この時代に時計を持っている人は少なく,また具合が悪いのにしっかり正確な時間を見ておく人も少ないのかもしれないという,いくつかの問題点があります。もうひとつの方法は患者が医師と会った時間で立てる(または検査用の尿が入った瓶をもって来た時間)という方法です。これは比較的正確な時間を把握しやすいですね。でも私の場合、知り合いの方のチャートを立てる時に「予約時間」と「実際に会う時間」が2時間もギャップが出る大きな病院もあることに気がつき、一応実際にお医者様に会った時間にして立てました。

ワンダ・セラー氏のアドバイスによると、チャートを立ててみればチャートが表していることの意味が通るか通らないかで、適切なチャートかどうかがわかるそうです。例えば1ハウスは患者もしくはクライアント(患者が質問者の場合がありますし、違うこともあります)ですので、1ハウスのサインが患者を象徴しているか,または1ハウスの支配星の状態が患者を表しているか見ます。病気のハウスは6ハウスで、医師またはセラピストは7ハウス、薬剤、治療、レメディーは10ハウスで見ます。

実際のワンダ・セラー氏のクライアントのチャートを見せてもらい、どのように解析していくかを教えていただきました。これが奥深く、さらには感覚的なものも一緒に使うというテクニックがすごいの一言です。そして1920年代の俳優ルドルフ・ヴァレンティノの有名なデカンビチュア・チャートも皆で話し合いながら解析しました。予後を見て行く方法やエッセンシャル・ディグニティー/デビリティーを駆使する方法など、知ってはいたけどこんなに重要なんだと改めて感じました。
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2年以上前にデカンビチュア・チャートの読み方も何も知らないのに、家族の手術の予定時間に合わせてチャートを立ててみたところ、MCに病気の象徴とそれを打ち消す強烈なものが一騎打ちしているのが見え、興奮して芳垣先生に「こ、このチャートをこう読んだんですけど」と見せたら「そうは読まないんですが、それだけ強く感じたのならそれを大事にして下さい」と言われ、やはり無謀だったかと後悔しましたが、でも結果として大当たりで手術は成功し病巣はきれいに取り除くことができました。そのチャートがどこかに残っていればいいのですが、今になってやっと読めるようになった(なり始めた・・・が正しいですね)ので、もう一度分析したいです。これは基本的にデカンビチュア・チャートではなく、イベントチャートになるかもしれませんが、やはり大きな出来事が病気の治療中でも起これば,立ててみる価値がありそうです。チャートを読み込んで行くしか道はないようなので、頑張らなくては。

そしてもうひとつの授業はKarmic Astrology(カルマ・アストロロジー)で、これは1日の集中講座として勉強してみました。輪廻転生の考えで月を過去生、太陽が現世、アセンダントを未来もしくは来生として見て行きます。また同じ12宮サインでも人格の支配星と魂の支配星があり,そのどちらを使っているかを見て行きます。このチャートは自然に魂の成長を促すリーディングになっていきます。ワンダ・セラー氏曰く、通常の占星術は「恋人とは?結婚は?仕事は?お金は?」という質問が中心で、良くも悪くも自己中心的、物質的なリーディングが主になるわけですが、カルマ・アストロロジーでは「現世の意味は?何を学ぶために現世はあるのか?この経験は何を学ぶためなのか?」という、より深い内省的な答えを求めるリーディングになるわけです。それぞれの参加者がペアになって相手の月、太陽、ASCを読んでディスカッションしました。ウ〜ン腑に落ちます。

「星占い」というと俗っぽく感じる方も多いかと思いますが,何千年もの間のひとつの世界観であり、ヒポクラテス、イブン・シーナ、カルペッパー、ユングと時代を超えた名士たちが研究した占星術、占星学としてみると、ぐっと底が深くなり、まるで永遠の謎に迫るような,哲学的な深淵にはまっていくようでもあります。現在でもインドの方々はジョーティッシュ(インド占星術)で結婚相手の選択をするそうな・・・
全てとは申しませんが、割と参考にするようです。そう言えば四柱推命は一般的ですよね。どこの国でも伝統的な方法はあるはずです。やはり地球だけで生きているという考え方は狭いと思います。全部ではありませんが多少は影響があると思います。できれば良い星回りの時に適したことをすると楽にできるとか、わざわざ逆流の時に大事なことはしないとか、天気や季節を見て何かをするのと近いです。そして自分の長所と短所を知って、より成長して行く指針になります。

もし勉強してみたい方は、LSAのアロマテラピー占星術の5回コースの初級と中級の10回を少なくともクリアすれば、デカンビチュア・チャートもカルマ・アストロロジーも準備万端です。真夏くらいか秋初めのころに講座を再開させようと思います。ワンダ・セラー氏は、来年も是非来日されたいと、熱く語っておりました。イギリスでも今までデカンビチュアは教えたことがないそうです。どうしてかと言うと、医療的な知識と占星術の両方の心得がないと読むことができないからだそうです。反対に私達にはチャンス(?)かもしれませんね。

ワンダ・セラー氏は昨日無事に帰国の途につかれました。地震の後にヨーロッパから日本へ行くのに気分的に大変だったと思いますが、リサーチして地方紙に記事を書くらしいので主人のジャパンタイムスを毎日あげて、1週間分お持ち帰りになりました。成田空港では「浴衣が欲しいわ」と言うので一緒に探していたら、真っ赤なシルクローブを見つけて店先で羽織って気に入られ、ご自分のお土産にされていました。私はてっきりコットンの紺か白地の浴衣とばかり思ってしました・・・・超人的に忙しかったですが、この8日間とても楽しかったです。勉強もいっぱいしました。頭に冷湿布をして,次に備えます!
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by lsajapan | 2011-06-15 12:30 | セミナー
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