<18> 錬金術とエッセンシャルオイル

最近は錬金術の本を何冊か読んでいます。事の始まりは去年の秋、サンフランシスコの帰りに空港のSFMOMA(サンフランシスコに行った事のある人は避けて通れない存在、San Francisco Museum of Modern Art —サンフランシスコ近代美術館です)のショップで見つけて、あまりの美しさに跳びついた錬金術の本なのです。アート関係の本として売られているので,カラー白黒両方の中世の錬金術の作品満載でとっても濃くて、枕元に置いておいたら吸い込まれそうでした。でも読んでいるうちに疑問がいっぱい。ヘルメス・トリスメギストスってなんでしょう?エメラルド・タブレットって??水銀と硫黄?なんでフラスコの中にいろんなものがはいっているの?今まで知っていたような、でもニアミスで調べずに通り過ぎた言葉やコンセプトがたくさん盛り込まれているようで、引き込まれるように読んで行きました。

第五精髄・・・これは知っていますよね。やはりこれはなんと言ってもエッセンシャルオイルそのものだと思えます。もしかすると賢者の石、エリクシールそのものなのでしょうか?多分。エッセンシャルオイルは古代ギリシャ人たちの考えた四大元素(火土風水)にはぴったり当てはまらないけれど、全ての要素を持っているしプリマ・マテリアのように神と同一視できるものでもないけれど、どうやら四大元素の性質をつなぎ合わせているものらしいです。ならば物質の変性、人間の変性も可能かもしれません。プラトン曰く「第五精髄は四大元素を超えたもの」で、道教哲学と共に考えるとまるでTAOにあたるもの・・・とさえ思えます。何しろ錬金術師たちは蒸留器を使って物質から第五精髄を抽出しようとしたのですから、エッセンシャルオイルは成功例なんでしょう。

そう言えば化学の世界でもつながることはあります。19世紀のドイツの化学者のケクレは芳香化合物の研究をし、ベンゼンの構造式(ケクレ構造、亀の甲)を思いついたとき、ウロボロスが自分の尻尾をくわえて環状になってクルクル回っている夢を見たそうです。そこでベンゼンの六員環構造を思いついたそうです。ウロボロスは自分の尾をくわえたヘビ、もしくはドラゴンで、きれいな円の形になっている錬金術の根本思想の象徴です。輪廻転生や黄金変成にも通じることで、終わりなき永遠を意味し「1は全体、全体は1」という世界観を表したものです。ケクレも錬金術に興味があったと思いますし、少なくとも彼の脳裏にはウロボロスが存在していたわけです。

こんなわけで、エッセンシャルオイルは錬金術的産物であり、このアプローチでエッセンシャルオイルを見つめて行くと、たくさんの秘密が見いだせると思います。化学でエッセンシャルオイルを理解するのも1つの方法で、第五精髄として理解するのも1つの方法ですね。

     サンフランシスコのダウンダウン、サードストリートにあるSFMOMA
b0164641_10135946.jpg

[PR]
by lsajapan | 2010-03-30 10:20 | インスピレーション
<< <19> Vitex agnu... <17> Plant Lang... >>